若い頃は、ファッションには大いに興味があり、お小遣いやお年玉の大半を洋服の購入に費やしていました。就職し、自分でお給料を自由に使えるようになると、ファッションへの熱は益々ヒートアップし、より品質の良いものを求めるようになりました。他人の目に触れる頻度の高いコートなどのアウターや、靴、バッグには、特にお金をかけました。その中で、一番後回しになりがちだったのがインナーです。大型スーパーの衣料品売り場で、ワゴンに積まれているものを買うこともあったのでした。少々サイズが合わずとも、気にしないで身につけていた私でしたが、年齢と共に、それらの肌触りや体へのフィット感が気になるようになりました。そこで、セール時期に思い切って店員さんに声を掛け、サイズを測り自分に合うものを選んで貰ったのです。値下げされていてもブラジャー1枚5千円、ガードル1枚6千円というのは、今までの私の基準からすると、相当高価なものでした。

思い切って、数枚ずつ購入した私でしたが、それ以来その着心地の良さに、もうノーブランドのものは着られなくなりました。早速、タンスの中を整理してみることにしました。自分のワードローブを見渡してみると、やはりTシャツなどを含むインナー類はアウターに比べてとても貧相なのでした。今では、人の目に見えないからと、少しくたびれた下着やTシャツを着ていると、なんとなく1日中落ち着かない気分になります。反対に、自分のサイズにあった肌触りの良い下着で身を包むと、背筋が伸び、行動的になれるのです。現在では、一切インナーには妥協をしません。夫や子ども達のインナーについても、毎年季節の変わり目にはタンスの中をいったん整理するということを自分に課しています。オシャレは、目に見えないところから、と彼らにも言い聞かせ、毎日お風呂に入り体を清潔にすること、適当な下着を選んで買わないことを約束して貰っています。昔と変わらず、ファッションには大いに関心のある私ですが、以前ほどやみくもに洋服を買ったりはしなくなりました。本当に気に入ったものを吟味してクローゼットに足すようになったのです。また、外出しない日には、何年も前に買った着古した服を着ていましたが、今では、軽く化粧をし、必ず髪型も整え、気に入ったワンピース何枚かを着回しています。

インナーの大切さを知った日から、毎日が清々しく過ぎていっているような気がします。これからも、内から発する美しさを求めていけたらいいなと思うのです。